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170センチ以上ある長身を活かした蹴り技を駆使する奥田。大柄の米田が小さく見える奥田だが、米田はその奥田の蹴りの出合いを取った上段突きで先行する。しかしその後、均衡状能が続き、残り時間20秒を切ったあたりから奥田が上段廻し蹴りを多用し、挽回を図る。しかし残り10秒で放った奥田の廻し蹴りの出合いを捉えた米田が中段突きで1ポイントを追加。さらに残り5秒で今度は逆に米田が連突きからの上段廻し蹴りで一本。結局4−0で米田が決勝進出を果たした。

 

対決!米田VS藤岡!!

 

一方のブロックでは一昨年、高校3年生にも関わらず3位決定戦まで残った藤岡映里(大阪)が勝ち進む。初戦(2回戦)の橋本純子(香川)と3回戦の馬場真由美(福岡)をともに2−2の同点から延長戦で苦戦を強いられるが「最初のうちは調子が出なかったが、馬場先輩に勝ったあたりからしり上がりに調子が良くなってきた」という藤岡。4回戦の関谷真実(千葉)を6−1の大差で破り準決勝進出。

準決勝で対戦したのが、昨年準優勝の迫祐美(青森)。地元青森の深浦高校の先生をしている軽量級の迫、得意の小刻みなステップワークから放った上段突きでまずは1ポイントを先取する。しかし、同じ軽量級の藤岡も素早いステップで中段突き、上段突き、相手の上段廻し蹴りの出合いを取った中段突きなどで、あっというまに5−2と逆転。最後は迫の上段突きに合わせた中段突きを極めて、大差をつけて藤岡が決勝進出を果たした。

迎えた決勝戦。片や森の子りすを彷佛とさせる軽旦里級の藤岡映里に対し、百獣の王の風格さえ漂わす重量級の米田由公子。試合展開も軽いステップから小刻みに入っていく藤岡が1ポイントをリードするも、どっしり構えた米田は相手がきたところを倒しての上段突きで一本!続けて決勝戦では珍しい大技、上段廻し蹴りでも一本を奪って5−1とあっさり逆転。最後は藤岡が起死回生を狙って連突きでくるところをダメ押しの出合いの中段で6−1。米田が昨年に引き続き、全日本2連覇を果たした。

 

■男女形 阿部良樹5連覇!! 上農真理初優勝!■

5連覇! 阿部良樹

 

男子形では5連覇に挑む阿部良樹(東北)に注目が集まる。その阿部は1回戦をセーパイ、2回戦をセイシャンでともに1位通過し決勝へ進出。決勝戦に残った4人の中、実に3人が阿部の得意形でもあるスーパーリンペイを演じることになった。しかし、ベテランの域に達しようとする阿部は2位につけた長谷川行光(関東)の出した25.9点に0.3点の差をつけた26.2点を出して見事優勝。実に全日本大会で男子形が復活して以来、5年連続の優勝となった。「肩を傷めていたが、いい結果でよかった。これからも気力の続く限り連覇していきたい」と語った。

 

上農真理、嬉しい初優勝!!

 

女子形では前年優勝の三村由紀(北信越)が、国体直前に傷めたヒザの治りが遅く欠場を余儀なくされた。三村は10月に行われた広島国体の試合直前に右ヒザの痛みを訴え、急遽、病院に運ばれた。しかし11月の世界大会では得意のウンスで金メダルを獲得。ケガは完治したのかと思われたが、実は世界大会でもだましだましやっていたようだ。

三村の不在で優勝の行方がわからなくなったが、演武順2番の上農真理(近畿)が珍しくペイクーを演じて26.0点を叩き出し、涙の初優勝を遂げた。「いつも通りの練習をしていた。ケガもなくできて良かった。横山(久美)先輩から自信を持って自分らしい形をするようにアドバイスを受けた。自分にしかできない形を皆に伝えたい」と涙ながらに語る上農。演武したペイクーは大会前に突然、先生から言い渡され、それに勝負をかけたのだという。

先の国体でも初優勝を遂げた上農、いよいよ上農の時代到来、か?

 

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